転勤をめぐる近時の報道と、配転命令権
◆AIG損保、転勤を廃止
AIG損害保険が、転勤の多い保険業界では珍しく、転勤を原則として廃止したと報道されました。一般に「転勤のある社員」と「地域限定社員」に分け、給与に1~2割の差をつける企業が多いところ、同社は「限定社員が格下の印象となり、優秀な人の出世の障壁になる」として、廃止に踏み切ったとのことです(日本経済新聞2019年7月17日付)。
◆転勤命令で騒動となったカネカ
一方、今年6月…
相続放棄に関する最高裁判例
Cさんの相続放棄が有効かが争われた事例です。この家族関係図は本件をわかり易くするために以前の相談例を基に作成したものですので実際の関係図とは異なります。Aさんの相続人は子供だけだったようです。そうしますと子供達3人はAさんの死亡を知った時から3か月以内(熟慮期間と言います)に相続を承認するか放棄するかを決めなければなりません。本事例ではAさんに借金があり、相続人全員が相続放棄をしまし…
改正相続法②
今回は「預貯金の払戻し制度」について。
今までは、亡くなった方の預貯金は遺産分割の対象財産に含まれることから、複数人いる共同相続人のうち誰か一人が単独で金融機関に対し払戻し請求をしても、払戻しを受けることは出来ませんでした。単独で駄目なら全員合意の下で払戻し請求を行えばいいのですが、共同相続人間で争い(昔から仲が悪いなど)がありますと、金融機関所定の払戻しの用紙に全員の署名捺印が揃えることが出来ず…
自動車左折時の危険
7月30日の朝日新聞1面より。国交省が過去10年にあった左折時の自転車巻き込み事故を調べたところ、死亡事故の9割を8トン超のトラックが起こしていることが判明したそうです。
自転車に限った話になっていますが、左折時の事故という点では横断歩道を歩く歩行者等でも負傷・死亡事故は多い類型です。図面で事故類型を分けてみましたが、①と④の形態で事故が多いことが容易に想像できます。①の原因とし…